とりあえず席に着いた。
あの日の記憶はこのお店に直接関係ないけど、それでもあの日の恩田さんを思い出してしまう。
「何か、合った?」
頃合いよく聞いてくる葉子ちゃんは、少しだけ意地悪な顔をする。
私は慌てて首を振ったけど、葉子ちゃんはふーん。なんて言い、話をそのまま続ける。
「まぁ、大体予想はつくけど、
もしかしてこのお店、誰かと来た?」
「…うっ」
誘導尋問の様な葉子ちゃんの問いかけに、うっかり狼狽えてしまう。
「多分相手はーー…、恩田さん辺りかな?」
見事な推理に私は目を丸くした。
もう私の態度は認めているのとほぼ同じだ。
「で、何が合ったの?私には言えないこと?」
ちょうどその時店員さんがオーダーを取りに来てくれた。
だからひとまずその話は終わったが、
きっとこれでは終わらない。
キラリ、葉子ちゃんの目が光った気がした。


