「今日は飲みというよりはまったりがいいよね」
葉子ちゃんに手を引かれながら、私達は「この前オープンしたお店いこうか」なんて言いながら歩きだした。
お昼の時の葉子ちゃんとは全く別人みたいな振る舞いをする彼女。
いつもの彼女に戻っていて、手を引かれなからもほっと胸を撫で下ろした。
会社から差程遠くなく、手ごろのイタリアンが食べられるお店らしく、少し待つかもしれないね。なんて話ながらたどり着いたお店は…
前に恩田さんに連れて来られたお店だった。
お店のドアをくぐった途端、なぜかあの日無理やり触れた恩田さんの感触が思い出され、ゾクッと身震いをしてしまう。
「どうかした?美優」
葉子ちゃんが私の変化にいち早く気付いてそう聞いてくる。
私はとりあえず、うんん。なんて首を横に振り、その場をやり過ごそうと思った。
でも、さすが葉子ちゃん。
そんな私の心情を見抜いていた。


