恩田さんを差し置いて私の席の前に座る葉子ちゃんは、恩田さんの存在を否定しているかの如く無視している。
「本当にごめん。急に残業頼まれて、携帯にも気付かなくて」
その台詞にほっと息を吐くと、なぜか恩田さんと目が合った。
そして、「ごめん…、邪魔みたいだから帰るわ」
そう言うとそそくさとこの場を立ち去った。
「ねぇ、恩田さん、何で居たの?」
「さぁ?」
「ふーん…」
葉子ちゃんはそう言うと、少し何かを考えてたみたいだけど、すぐに頭を切り替え「場所替えようか!」
と私の腕を引く。
私はそんな葉子ちゃんに引っ張られながら、私達もお店を後にした。


