秘密の時間

でも、顔を上げれば泣いているのがばれてしまう。


離れたいに、それに反する様に零れ落ちる涙。


私はそのまま、涙が止まるまで部長の胸を借りていた。






「泣き、止んだか」

「……」


泣き過ぎて、言葉が上手く出て来なくて、

赤い目、してるんだろうな。浮腫んでるかも…。



それでも、部長のいつもとは違う少し困った声色に、私は自然と顔を上げてしまった。



「……」



ふたりして無言で見つめあい、部長の手が私の頬をゆっくりと掠めて行く。



その優しい指先。
涙を拭い去ると、その指先は私の髪の毛を撫でてゆく。