持たされていた携帯電話でマムにかけました。
「もしもし、るぅ?
どうしたの?」
「マム……、駅に着いたの。
でもね……るぅね、何か泣きそうなの」
「るぅ、おばあちゃんの前で泣いちゃいそうなの?」
「うん、だっておばあちゃん淋しそうだったら……。どうしよう……」
「るぅが心の準備できるまで、泣いてもいいよ」
「うん、でも病院の前まで走っていく」
「約束だよ。病院に入ったら泣いちゃダメだよ」
「約束するよマム、病院の中では絶対に泣かない」
「じゃあ、あと少しがんばってね。パオちゃんも応援しているからね」
「がんばるよ!
マム、行って来るね」
「車には気をつけてね。急ぎ過ぎない様に走ってね」
「マム!
走るのは急ぐからだよ。
急ぎ過ぎないって無理だよぉ」
「そっかぁ、えーっと、転ばない様に走るんだよ」
「はぁーい!
じゃぁね、マム」
「うん、気を付けてね」
「もぉ、マムは心配ばかりするんだから、大丈夫だよ。
ばいばい」
 マムが何か言おうとしていたけど、るぅは電話を切ってしまいました。
『マムの声を聞いたから、もう大丈夫!
るぅはがんばって走るよ』
呟くと走り出しました。
リュックがるぅの背中でガタゴト踊っていましたが、気にもしないで走っていると、おばあちゃんの入院している病院が見えてきました。