涙から生まれたるぅ

アークと公園のブランコで遊んでいると、4人の男の子たちがアークを指差して近寄ってきました。
口々にアークの悪口を言って彼の周りを囲むと、手に持っていたBB弾の入った銃でアークめがけて撃ちはじめました。
るぅはそれを見て、とても我慢ができなくなるくらいの怒りを感じました。
一人の男の子の肩を突き飛ばすと
「何でそんなことするの、やめてよ」
「だってこいつ目が緑だし、エイリアンなんだもん」
「そんなこと関係ないんだから、止めてよ」
「ヤダもーん」
るぅは、そのいじめっ子たちを次々に突き飛ばし始めました。
「これでも止めない?」
「止めない?
だってさ。やっちゃおうぜ!」
笑いながら転んだ姿勢でも、まだ打ち続けてきます。

アークを守らなきゃ!
ちらっとアークを見ると、泣き出して動けなくなっていました。

「アークを泣かせるなんて許さないから」
るぅは、いじめっ子たちの手から銃を取り上げて踏み潰しては、拳骨でゴツンと一人ずつ殴って言いました。
「アークは殴られるより、もっと痛かったんだから」
「今度アークにそんなことをしたら、もう許さないからね」
いじめっ子たちを睨みつけました。
るぅの純粋で、されど力強い瞳に圧倒されたいじめっ子たちは、黙って帰って行きました。
「アーク、大丈夫?
あんなこといつもされてたの?」
「うん、公園で遊んでいるといじわるされた……。怖かったよ……」
「るぅがいればもう大丈夫だよ。ずっと守るからね」
「うん……ありがとう」
「るぅもね、同じことされたよ。火傷もしたんだよ。これからは、るぅに言ってね」
アークは黙って立ち上がり涙を拭くと、るぅの手をとって言いました。
「るぅちゃん、ありがとう。かっこ良かったよ。ボクも強くなりたいな」
「がんばろうね。無理しなくていいから。いつでもるぅが側にいるから」
「もう一回ブランコで競争しよう」
「うん!
いいよ」
ブランコに座ったアークの背中を後ろから押してあげていると、さっきまでの泣き顔は、すっかり笑顔に変わっていました。