言葉が出なくて、でも目からは素直に涙が流れてきた。
「爽……汰……」
「春菜しかいないんだ。
傍にいてほしいって思うのも、傍にいたいって思うのも。
ずっと隣にいてほしいって……俺がこの手で守ってあげたいって思うのは、春菜だけなんだ。
……絶対幸せにする。
だから……俺と結婚してください」
爽汰がスッとあたしに手を差し出す。
涙が次から次へと溢れてくる……。
「っ……よろしくお願いします」
爽汰の手の上に左手を載せる。
すると、爽汰はそっとあたしの左手の薬指に指輪をはめてくれた。
「うん、ぴったり」
そう言って爽汰は嬉しそうに笑った。
「好き……大好き、爽汰」
「俺も好き……愛してる」
どちらともなく重なる唇。
久しぶりのキスはあたしの涙でちょっとしょっぱかったけど……でも、すごく幸せな……特別なキス。
今日で9年目を迎えたけど……あたしたちの人生はこれからもずっと長く続いていく。
その長い人生の中で、どこにいても爽汰の隣で笑えていますように。
二人の人生がずっと、ずっと……笑顔で溢れていますように。
-end-