マンネリカップルの危機。


「ごめん……。
あたし、ちゃんと爽汰の話聞けばよかった。
……ごめんね」

「いや、誤解させた俺も悪いから。
……春菜から抱きついてくるのなんて、久々だな」

「最近マンネリ気味だったから……。
恋人らしいこと全然してないし……。
だから、ちょっとでも女の子らしいとこ見せようって、あたし……」

「あー、それでスウェットじゃなくなったわけか。
うん、確かにドキドキした。
……春菜にそんなこと思わせてたなら、ちゃんと思いのままに行動してればよかったな。
久しぶりだから嫌がられたら、とかそんなことばっか考えてた……」


ギュウッと更に強く爽汰の腰に腕を回す。

爽汰の胸に顔を埋めると大好きな匂いが鼻孔いっぱいに広がる。


「でも……今日のその格好はヤバいな」

「え?」

「本当……焦ったし。
そんな可愛い恰好で……しかもよりによって横田といてさ。
春菜取られるかと思った……」

「そんなわけないのに。
今更他の人のところになんて行けないよ」

「うん……俺も。
いなくなるかもって思って、春菜が自分にとってどれぐらい大切な存在か分かった。
……好きだよ、春菜。本当に」

「……あたしも好きだよ」


爽汰の胸から顔を上げると、爽汰はあたしの大好きな笑顔であたしを見つめていた。