ユカと別れて家に帰る。
うまく行ったらなんか奢ってね、と帰り際に言われた。
ちゃっかりしてるわ。
「ただいまー……」
ドアを開けて中に入ると、リビングには電気がついてなかった。
……もしかしてまだ寝てる?
もう夕方になるのに……。
バッグを置き、寝室として使っている部屋のドアノブを握ろうとしたら、手が空を切った。
あれ、と思っているとドアが開けられて目の前に白いTシャツが見えた。
「ん……春菜?」
「おはよ……よく寝てたね」
「昨日は帰ってくるの遅かったからなー。
……あれ、どっか行ってた?」
「ユカと会ってきた」
「そっか」
そう言うと爽汰はアクビをしながらリビングへと入っていく。
少し襟元がよれたTシャツ。
そしてスウェット。
まさに寝起きの格好。
同棲し始めた頃は休みになると2人でよく過ごしてた。
遊びにいったり、家でゆっくり過ごしたり。
それがだんだんとなくなっていって……今じゃこんな感じ。
高一から付き合って約9年。
新鮮さなんてとうの昔になくなった。

