少し歩くと、学校が見えてくる。
ここはあたし達の通っていた学校じゃないけれど。
でも、ここから高校生達を見てるとあの日の自分達を思い出す。
高一で同じクラスになって、告白されて、すごくドキドキして。
ケンカもしたっけ。
今では原因も思い出せないけど、すごくくだらないことでケンカしたことは覚えてる。
ユカなんて完全に呆れてたっけ。
痴話喧嘩はよそでやれって。
大学は爽汰と違ったけど、それでもよく一緒にいたな。
バイトを始めて、二人ともお金に少し余裕ができたから遠出もしたっけ。
就職が決まって、少ししてから一緒に住もうと言われて。
あの時は嬉しかったなー……。
「……やっぱり、帰ろうかな」
外にいても、何を見ても爽汰を思い出してしまう。
だったら家に帰ろう。
家で大人しくしてよう。
爽汰が帰ってきたら……ちゃんと謝ろう。
それで、ちゃんと話をしたい。
このままじゃダメだから。
何をしても爽汰のことしか頭に浮かばないから。
……胸が苦しくなるから。

