「……確かに高校の頃はすっごいドキドキしてた気がするなぁ。
何するにも緊張して」
それに比べて今は……。
「まぁ、あれから9年も経ってるわけだし。
そりゃ、いろいろと変わるだろうけど。
春菜が爽汰君を好きな気持ちは変わってないんでしょ?」
コクッと頷く。
変わるわけない。
変えられるわけない。
だって、ずっと一緒にいたんだもん。
いろんなこと一緒にしてきたんだもん。
ケンカだって何回もしたことあるけど……
それでも、やっぱり傍にいて安心するのは爽汰だけで。
爽汰の笑顔が一番好きで……。
「マンネリっていうのはさ、よく言えば隣にいても何の違和感も感じないほど自然な存在……長年連れ添った夫婦みたいなもんだと思うのよ。
恋人にしたらドキドキ感がなくなってつまらいと感じてしまうのかもしれないけど。
でも、その心の奥には相手に対する『好き』が残ってるはずだから。
爽汰君だって。見て分かるほどのものじゃなくなったかもしれないけど、春菜に対する気持ちは変わってないと思うよ」
「ユカ……。
……たまにいいこと言うよね」
「たまには余計よ。
ていうか、そこはありがとうって言うとこでしょうよ」
「うん、ありがとう。
あたしのユカに対する気持ちもずっと変わってないよ」
「何よ、急に。照れるから早く帰りなさいよ」
「誘ったのユカなのにー」
ユカさん大好き。

