「それとさ、春菜。
今度の……………ん?」


何かを言いかけた爽汰が突然しゃがみこんで紙きれを拾い上げた。

あ……あれ……。


「名刺?」


あたしがバックを投げたときに落ちたんだ。


「………横田?」


その名前を口にし、爽汰は顔をしかめた。


「横田って……あの横田?」

「うん。さっきたまたま会ったの」

「……それで遅くなったわけ?」

「ちょっと話してたから。
………爽汰?」


爽汰はそれ以上は何も言わずに名刺を持ったまま寝室へと向かう。


「え、もう寝るの?」

「………疲れたから」

「そっか……おやすみ」

「…………おやすみ」


バタンと閉められた扉。

…………………。

……本当に寝るんだ。

いつもの時間よりまだ早いのに……そんなに疲れてるのかな。