「え……何、うまくいってないの?」

「そういうわけじゃ……。
ただちょっと……うん」

「あぁ……ごめん。
俺が深く聞くことじゃないよな」

「いや、こちらこそ……ごめんね」


何だか気まずい雰囲気になってしまった……。


「あ、そうだ。これ」

「え?……名刺?」

「そ。何かあったら連絡して」

「何か……?」


あたしが首を傾げると、横田君は小さく笑った。


「例えば、爽汰とケンカしたとか。
俺がいつでも慰め役になるよ、なんてね」

「ありがとう」

「いえいえ。じゃあ、またな」

「うん、バイバイ」


あたしは横田君の名刺しまうと、家へ向けて歩き出した。