正しい俳優のなり方教えてください。

ヤクザの白神さんは目が点になってるし、ボスって呼ばれる赤羽さんはきらきらと目を輝かせて、嬉しそうにあたしを見つめる。


極端すぎて怖い。


「ベッキー!!君はなんて素敵なんだ!最高!最高だ!」
「サンキュー、ボス」
「どこぞのアイドルや若手俳優にも負けないくらいかっこいいよ!古樹くん」
「はあ・・・」


何故だろう。あまり嬉しくない。
ベッキーさんが、あたしに鏡を渡す。
自分の姿を改めて見ろと言うのか、若干誇らし気に渡された。
鏡を見てあたしは目を見開く。


誰だ。こいつ。


漆黒のサラサラなショートの髪
凛々しく細い眉毛
白い肌。
そして格好は、一応さらしで潰した真っ平らな胸にシックなスーツ。


男にしか見えない。


あたしは床に座り込み、落ち込む。
すると、赤羽さんがあたしの肩に触れる。


「古樹くん、いや、小十郎くん。君、採用!」
「は?」
「うちの俳優として働いてもらうよ!」
「・・・はあああああ!?」


神様、あたしは今までいい子に生活してきたはずです。
なのに何故ですか?
兄は5000万の借金を残して失踪し、
残ったあたしが連帯保証人になり、借金を肩代わりするハメになり、
そして女を捨て、男として借金返済をしなければならないなんて
ひどいにも程がある。