5000万なんてそう簡単には払えない。
カタカタと体が震える。


「・・・仕事ならこっちで用意してやる。お前、顔は中々整ってるな。身長はいくつだ?」
「170です」
「ほー、ならうってつけだ」
「は?」
「ついてこい」


そう言われてあたしはジャージで黒塗りのベンツに半ば強引に乗せられ、そのまま連行された。
借金返済でよくある風俗に売られたりとかマグロ漁船とか映画によく出るシーンが頭の中で繰り返し流れ、あたしの震えは止まることがなかった。

ついた先はオフィス街。
てっきりマグロ漁船とかかと思いきやまさかのオフィス街にあたしは呆然とする。


「はやく来い」
「は、はい」


白神さんに呼ばれ、あたしはあるビルの中にはいる。
エレベーターに乗り、八階のボタンが光る。
一体何処へ連れていかれるのかわからず心臓はうるさくなる一方だった。
八階でエレベーターは止まり、出ると、赤羽プロダクションの文字が目に止まる。
白神さんはスタスタと中に向かう。
あたしは慌てて追いかける。