あたしには、10歳上の兄がいる。
両親はあたしが、小学六年生の時に他界。
幼いあたしを兄が一生懸命育ててくれた。
けど、その兄が友達に借金していると聞いたのは最近だった。
その友達が厄介。
中学からの友達らしいが、かなり厄介。
今目の前に座る男

白神陣

関東で一、二を争う暴力団、白神組の若頭である。
そう、兄はヤクザに借金していたんだ。


「・・・一樹とは長え付き合いだったが、こんな形で裏切られるとはな」
「・・・借金っていくらなんですか」
「なんだ、妹のくせに知らねえのか。5000万だよ」


5000万
桁違いの額にあたしは言葉を失くす。


「兄貴の借金だ。当人がいねえなら、身内であるお前に払ってもらわねぇとな・・・」
「あ、あたし?」
「ああ。これは金を貸した時に書かせた契約書だ。んで、連帯保証人の欄見な。お前の名前が書いてある」


白神さんが指した欄には連帯保証人、片倉古樹の名前がはっきり書いてあった。
あたしが連帯保証人
あたしが5000万返さなきゃいけない
目の前が真っ暗になるってこういうことなんだ。