理解してもらえるなんていう気はサラサラなかった。
 野犬達はオレの話など小馬鹿にして嘲笑った。
 そしてひたすら唸り声をあげオレの周りを囲みグルグルと旋回していた。


 “もう一度言う。
 道を開けてもらいたい。”

 弧を描いて回る輪が少しずつ距離を狭め始めてきたのを感じ…オレはいよいよ覚悟を決めた。

 相変わらずしたり顔のまま…野犬たちはオレに少しずつ距離を縮めてくる。


 オレは…いよいよ覚悟を決め体中の毛を逆立てた。


 “フッー”

 オレは…全身で怒りを表現させて数匹の迫り来る野犬たちを睨み威嚇する。


 その様子に…野犬たちも尖った牙を剥き出しにして唸り声に力を込めた。


 “…来る…!”

 無数の野犬の影が身動きもとれないほど近い距離まで迫ってきているまさにその時だった‥。

 “―イヤだと言ったらどうする?”


 野犬の一匹が…先程の言葉に返した。

 “…別にどうもしない…ただ…!
 オレは前に進むだけだ!”

 野犬たちを睨みながら声を高らかにあげた!


 “イヤだ…!?”
 “嫌だ…!?”
 “いやだ…!?”

 野犬たちは…メンチを切り口々に咆哮をあげた。
 野犬の巨体がオレに喰らいつくように飛び付いてきた…。
 …その瞬間…。

 野犬達の足下に少しの隙間を見つけたオレはその間をすり抜け、素早くお得意の爪を使って木を登り野犬たちの様子を上から眺めていた。

 …数体の巨体が互いにぶつかり合い激しい衝撃を受けて地面に倒れた。
 何匹か衝撃で気絶していた者もいたがすぐに身を起こしてオレの姿を探す。


 “くっそ―!?
絶対…噛み殺してやる!?”