気がつくと私は病室にいた。

目の前には真っ白い天井しか見えない。

少し頭が痛い。

なぜ私はここにいるんだろ。

そんなことを考えていると、

誰かに肩をトントンと叩かれた。

叩かれたほうを見てみると、

そこには1人の看護師と泣いて顔がぐしゃぐしゃのお母さんがいた。

看護師はスケッチブックのようなものを持ってき、何かを書いてこちらに見せてきた。

【体調はどうですか?】

そしてその看護師はスケッチブックとペンを差し出し、

ジェスチャーで書く真似をしていた。


きっと書いてっていうことだろう。

その時ふと思った。

どうして看護師は何も話さないのだろう

普通に話したらいいのに。

私はそんなこともおかまいなしに

【大丈夫です。】と書いた。

すると看護師はまた何かを書いて私に見せてきた。

【驚かないで聞いてください。

あなたは耳の機能が低下し音が聞こえなくなりました。

一生治らないと思ってください。】

ま、まさかね。

そんなことはないと思い、

母に話しかけた。

「ねぇ。お母さん。私大丈夫だよね?

どこも悪くなってないよね?」

そういったつもりだった。

なのに

自分の声が聞こえない。

ショックだった。

よりによって私が障害者になるなんてね

これからどうして生きたらいいの?

分からないよ。

世界は見ることができても

音は何一つ聞くことが出来ない。