dearest~最愛~

あの日もフラフラギターを引くために場所を探して歩いていた


その時彼女の声に聞き入ってしまったのだ


何故か切なくでも何故か暖かい彼女の歌


俺は思わず彼女の目の前に来ていた


歌い終わり俺に気づいた彼女はにっこりと笑う


でもその笑顔もどこか寂しそうで思わず抱き締めてしまいたくなった


『あの~』


彼女は何も言わずただ真っ直ぐ自分を見る俺を不思議に思ったのか声をかけてくる


俺は我に戻り彼女に思わずいってしまった


『俺と一緒に組みませんか?』

これが流加に話しかけた始めの言葉だった


『…はい?』


何を言われたのかわからない顔の彼女


『惚れました姫になってください』


興奮のあまり俺はまたしてもわけのわからない言葉を彼女に言っていた


『ナンパならお断りです』


彼女はさっきまでの笑顔を消して俺を睨み付ける


『ナンパじゃなくて…俺らのバンドに入ってくれませんか?』

ちゃんと言葉を考え選び彼女に伝える


『ごめんなさい…無理です』


そう頭を下げて彼女はギターをケースにしまうと去って行った