side流加




気持ちいい歌うことで私はさっきの出来事なんて忘れてた



いや歌で忘れようとしたんだ



『よし今日はここまでにして帰るか』



那珂の一声で練習が終わった



『じゃあ流加送るから帰ろうか?』


恋に言われた


『まだ早いから帰りたくない』

思わず私はそんな事を言っていた



『早いってももう9時だよ』


『まだ9時じゃん』



9時なんて早すぎる


ご飯だって練習の合間に買い出しに行き済ませた


今から帰ってもただ暇なだけじゃん


『ダメ親御さん心配するでしょ?』


するわけない…だってうちの親は今日本にいないんだから



でもそんなこと皆には言えない

まだ私の家の事何も話してないから


皆を信用してないわけじゃないただ言うのが怖い


もし皆がその話しを聞いて私から離れてしまったら…


もう私にはここが大切な場所になってしまってるんだ


そんなことを考えて何も言わない私に那珂が心配そうに話しかけてきた



『流加?どうかした?』


『え?大丈夫なんでもないから』



そう誤魔化した