画家のゆび




銃口は次にあどけない少年に向けられた。



ああやはり、やはりおまえは人の命を繋いでなどくれないのだ。



土を焼き、草を焼き、その焼失は人々に繁栄という名目を持って幸せを与え続けたけれど、結局はその例外に我らは含まれなかった。



奪われる方であったのだ。



「あああぁあぁあぁぁああああああっ!!」



言葉にならない雄叫びをあげて、少年は光る銃口に向かっていった。



引き金を引くよりもはやく人殺しの身体に飛びついた彼は、スケッチブックを片手に銃を持つ手にかみつきそれを奪う。



けれどこれを手に入れたって、これは自分になにももたらしてはくれないのだ。




少年はただ夢中で引き金を引く。



放たれた炎は軍服の勲章を貫き、赤いしぶきをまき散らした。



沸き起こる悲鳴と嘆きの渦。




もう片方の男も引き金で殺して、少年は彼らと同じく人殺しになった。






なのになにも与えてくれないのは、どうしてだ…。