昼間の街頭の根元に、毛むくじゃらな一人の老人が座っている。



人の波が彼を避け、嫌悪の眼差しを向けられたって彼は一歩たりともそこを動かなかった。



その両腕は不自然に持ち上がり、見えないなにかを握った右手はとりつかれるかのように空を泳いでいる。



胸まで伸びた髭は灰色がかり、頭には山高帽子と金色の羽を差していた。



その傍らには、錆びた古い角灯がガラスの中で煌々と光を燃やしている。



「じっちゃん、なにしてるのさ」



舗道の外から少年が尋ねた。


幼い彼は、寒さから隠れるように布で頭を覆っている。



腕には、老人と同じく白地に星を描いた腕章が縫い付けられていた。




老人はすっかり両目を覆ってしまった眉毛の下から、くすんだ光を帯びた視線で少年を見やる。



だが、すぐにまた右手をせわしなく走らせた。