「んで、いきなりだけど、腕見せて。」

「お前、いきなり過ぎるだろ。」

断ると思いきや、

「良いですよ。」

と、言って見せてくれた。


……。やっぱり噂通り凄まじい傷でした。

細い腕に真っ赤な切り込みが無数にあって、
中には黒くなって居るヤツもある。
まぁ、見ていて気持ちいいものじゃない。

なのに祐介はリスカ痕を見て、

「綺麗。」

と、呟いた。

「えっ……?綺麗ですか?何処が?」

「綺麗じゃないか?
なんか細長いルビーが散りばめられている感じがして。」

「……。おまえ今から精神外科に行け。
今すぐに。」

「何でだよ!」

「何でだよ!じゃねえよ!
頭おかしいだろ、お前!
言っていることは正しいよ。
今この場でそれを言えるその精神を俺は疑ってんの!
何でそんな事簡単に言えるの!?
お前は、勇者か!?」

はぁー、と長いため息を吐いた。