奈緒のバイトが終わった。 そこから歩いて三十分。 会場に着いたと同時に花火が上がった。 パッと空が明るくなった。 大きな音が空気を震わせた。 「すごーい」 奈緒が俺の手をギュっと握る。 花火に照らされた奈緒の笑顔が可愛くて。 俺はしばらく奈緒の横顔を盗む見ていた。 「龍次、花火って綺麗だね!」 奈緒が俺を見て笑った。 「あぁ…」 俺もつられて笑った。 「花火、見れてよかった」