奈緒が手を繋いでくれたのは嬉しいけどその理由が悔しかった。俺に倒れられたら困る、か。


 奈緒は俺のことどう思ってるんだろう。


 少なくとも恋人と扱ってもらえてないのは確か。


 恋人同士ならキスくらいするし。


 まあ、ごはん作ってくれるのは恋人っぽいけど。


 そういえば、と俺は思った。


 付き合い始めてすぐ、奈緒が俺んちに来たとき。


 奈緒は料理を作ってすぐに帰っちゃったんだ。


 そんときは俺一人で食べたけど翌日もそうで。我慢できなくなった俺は、奈緒にキレたんだ。


――俺は動物じゃねぇんだから、作ってくなら一緒に食えよ!


 あの日から奈緒は一緒にごはん食べてってくれるけど、それも俺が無理矢理食わせてってるだけだよな。



 俺はため息をついた。



「龍次?大丈夫?」



 奈緒に聞かれて、俺はギクッ!


「へ、ヘーキヘーキ」