翌朝、起きると奈緒はいなかった。




 代わりに、黒い携帯が一つ、開いた状態で置かれている。俺は携帯のボタンをプッシュした。


『一旦、家に帰ります!私の前使ってた携帯おいとくんで使ってください!by奈緒』



 奈緒からの伝言が表示されていた。


「帰ったのか…」



 俺は呟いて、寝転がった。


 熱だってことを忘れて寝転がったせいで脳天をぶち抜く様な痛みに襲われて俺は呻いた。



 それから起き上がって、薬を飲む。


 座ってても、あまり頭が痛くない。結構よくなってんのか?


 俺は体温計を脇に挟む。


 ひやっとした感触に悪寒がした。