「その携帯の件だけどな。洗濯してくれたから帳消しにしてやるよ」



 俺の言葉に奈緒は顔を輝かせた。




「ありがと!」




 抱き着かれて俺は驚いた。



 前に抱きついたときは嫌がってたのに。



「奈緒!?風邪、うつるぞ」



 俺の言葉に、奈緒は顔を真っ赤にして俺から離れた。




「そういえば、昨日、龍次がおかしかったのは風邪のせいだったんだね」




 奈緒が思い出したように。



「は?」


「ほら、やたらべたべたしてきたじゃない。風邪だって気付けなくてごめん」



 なんで奈緒が謝るんだよ。



 つか、アレは風邪のせいじゃなくて本心だし。