目が覚めたとき、奈緒はいなかった。




 ベッド脇に、お粥とビーフシチュー。




 まだ、かすかだが湯気が出ているのを見ると、作ってすぐの料理なんだろう。もっとも、シチューはあっためただけなんだろうけど。




「奈緒…」






 さっきまで、奈緒が部屋にいてくれたのかもしれない。


 俺はポケットに手を入れて、携帯を探した。



「あれ?」



 携帯がない。



 それで気付いた。



 俺、パジャマ着てんだ。



 奈緒といたときは制服だったはず。



 奈緒が着せ替えてくれたのだろうか。