「あんまりかわいいこと言うと壊しちまうかもしれないぞ?」

「ヤダ…壊さないでね。優しくするって約束してくれる?」

頬を薔薇色に染めて視線を逸らす姿が初々しい。

「うそだよ。壊すわけ無いだろう?ようやく手に入れた大切なお姫様だ。
杏に拗ねられて恋人から従兄に降格させられたらたまらないしな。」

「クスッ…それは無いわよ。」

冗談めかして言う俺に、杏はクスクス笑って抱きついてくる。

杏に抱きしめられる時、本当に彼女が俺のものになったのだと心が感じて、まるで杏の想いに共鳴するように胸が熱くなっていく。

杏の全てをようやく手に入れることが出来る。

10年越しの恋が成就するんだ。