No.04 「鏡と声」


僕は、昔から鏡が大嫌いだった


鏡の前を通るといつも謎の声が聞こえるからだ



子供のころ、初めて「声」を聴いた時、その声に反応してしまった



「どうしたの?どこにいるの?」


と言ったところ友達から気味悪がられた

子供心にそれはかなーり傷ついた

しかし無視もできない


その声は「助けて」「待って」「苦しい」

と、ほっとけなくなるような事ばかり言う

何度か病院にも連れてかれたが原因不明

挙句、精神科に連れてかれる始末だった


しかしこの声、たまに具体的な事を言う

昨日だって車のサイドミラーを見た時
「ケータイ…ケータイ…」と聞こえて携帯を家に忘れていくのを未然に防げた

そんな小さな事ばかりではない
「母が危ない」と言われて気になり、実家に行くと台所が軽く火事になっていて母はソファーで熟睡していたなんて事もある

「声」が具体的な事を言う時は気にしたほうがいいと言うことだ

今朝は起きると何だか身体が重かった
熱を計ると、なんと39度

休もうと大学に電話を入れようとしたら「声」が聞こえてきた


「学校には行け」

もちろん従う事にする

声のお告げは絶対に当たる
家にいると危ないのだろう