晴れときどき雨

向かった先は屋上だった。

屋上には誰もいなかった。

「どうしてあんなことを言ったんだ?お前もう少しで大変だったんだぞ?」

「だってあまりにも楓がかわいそうだって思ったから。

私なんかより楓がかわいそうだって思ったから。」

「ったく、小村はどんだけ友達思いなんだよ。」

そういうと橋山くんは私の頭を撫でてくれた。

髪の毛がぐしゃぐしゃになるほどたくさん撫でてくれた。

「・・・・なんだよ。」

「え?」

「好きなんだよ。小村のそういう性格とか仕草とか、何もかもが好きなんだよ。」

「へ?」

正直何を言ってるのかさっぱりわからなかった。

こんな自分に限ってそんなことはないと思った。

「・・・・だからさぁ。付き合ってくんない?」

「え・・・。でも。」

「答えはゆっくり考えたんでいいから。」

「橋山くん・・・・。」

「あとさ、橋山くんっていうのやめてくんない?なんかかたくるしいからさ。新でいいよ新で。」

「わかった。じゃぁ私のことも梓って呼んで。」

「梓かぁちょっと長いな。・・・・そうだ。あずでいい?」

「え!?・・・あ・・・うんいいよあずで。」

「おっけー。」

「橋山くん。」

「新でしょ?」

「あ、そっか。

・・・・・・・新。」

「よろしい!!」

そういうと新は優しく抱きしめてくれた。

「え!?ちょ、ちょっと。」

「あ、わりぃ。我慢が出来なかった。ごめん。」

「私も、テンパってごめん。」

「ふふっ。」

「あ、新が笑った。」

今までに見たことのない笑顔だった。

すごくステキで優しくてあったかい笑顔。

「・・・・・いいよ。」

「え?何が??」

「・・・・付き合ってもいいよ。」