そういって彼は雨の中走って帰って行った。

「なんかもうしわけないな。」

そういいつつ私は大きな青い傘をさして帰った。

持ち手の部分ははまだ温かかった。

家に帰ると、母はまだ帰ってきてなかった。

母にばれないように靴箱の陰に雨水をきれいにふき取ってから隠した。」

私は自分の部屋に帰り、ベットの上に腰を掛けると携帯をひらいた。

メールの受信箱には1通メールが来ていた。

由佳からだった。

『今日大丈夫だった?

急に雨が降ってきたみたいだけど。

梓のことだから忘れてないかなって思って((笑』

私は今日のことをすべて言った。

すると数分後に返信が返ってきた。

『そうなんだぁ。それってさぁ橋山くんって梓のこと好きなんじゃない?

だってそうじゃないとそんなことしないでしょ。

あたし梓の恋応援するよ。』

そんなことはないよね。

私みたいな何もとりえのない人を好きになるはずがない。

私はテキトーに返信をしてお風呂に入った。

湯船につかりながら今日のことを思い出していた。

どうしても橋山くんのあの笑っていない笑顔が頭から離れない。

なぜか気になって仕方がない。

「これってもしかして恋??

・・・・なわけないよね。

私に限ってそんなことあるわけない。」

そう心に言い聞かせた。

しかも今大事なことは吹奏楽の大会のほう。

恋なんてしてる場合じゃない。