「えーっと・・・あ、3組だ。」

中学生になって2度目のクラス替え。

私は3組になった。

「梓ぁー!!あたしと同クラだよっ。」

「嘘っ!!」

改めてクラス表を見直す。

由佳・・・由佳は・・・。

「ホントだ!」

私と由佳は幼稚園の時からの親友。

ずぅーっと同じクラスだったけど

中学生になってからクラスが離れてしまった。

だけど、こうしてまた同じクラスになれた。

「梓。一緒に上がろ。」

「うん。」

まさか、またあいつと同じクラスになるとはね・・・。

「梓。おはよ。また同じクラスね。ま、あたしにとってはどうでもいいことだけど。」

楓は同じく幼稚園からの仲。

いつも3人で一緒にいたのに

楓は中学生になってから変わってしまった。

あんなに仲が良かったのに、今ではまるで真逆。

そう、私はあいつにいじめられている。

もう同じクラスになりたくなかったのに。

またあんなふうにあわされると思うと身震いがした。

「お前ら席につけよー。」

新しい担任がやってきた。

そいつは黒板に太くごつい字で自分の名前を書いた。

山之内勇。

そんな字を書くとは思えない。

髪の毛には寝癖。

ネクタイも少し曲がっているし、

顔も点を3つ書いたような感じ。

みんなひそひそ何か喋っている。

すると後ろからトントンと肩をたたかれた。

振り向くと、去年同クラだった

菜穂がいた。

「ねぇ、ホントにあいつがうちのクラスの担任?

なんか頼りなさそう。」

「確かに。」

するとあいつはひょろひょろの声で何か話しだした。