孤独の戦いと限界


〜2週間後〜

椎名が元気を取り戻したみたいで良かった。
失恋の苦しみはよくわかる。立ち直ってくれて、本当に良かった。

ただ椎名とは経緯上、俺は友美との仲を自重しながら付き合っている。

椎名は、俺と友美の間柄を苦に感じるかも知れない。
余計なお世話かも知れないが、気を使ってやりたい。


恵理とは、陰ながら元気がない時も見られるが、相変わらず愛想を振り撒くってくれる。

屋上での出来事は、相当気にしていたみたいで、俺に強く質問してきた。

そんな質問の時、好奇心というより切なさを感じた。
友美と一緒になる事が、これから多くなりそうなので、俺と友美のいきさつを話しておいた。

案の定、驚いたけど悲しそうな表情をしたのが、今も印象的だ。

友美とは日常をイベントに変えて、恋人として触れ合いが多いこの頃。

自分の時間も必要だと感じた俺は、時間設定も決めた。限られた時間を、友美との恋のトキを楽しんでいる。

『いつまでも、いつまでも、この至福な時間を楽しんでいたい。いずれ社会という波が迫ってくるが、せめて学生の間は…』


後、新しい後輩の友達が出来た。俺とは対象的の明るい女の子だ。


〜学校〜

『礼!』

終業後、友美が風紀活動がなければ一緒に帰るが、それ以外は図書室に寄る。
もしくは大人しく帰り、ニュースでも見る。

『宮川先輩♪』

『では風紀の方に行くね』

『ん〜、適当にな』

後輩も風紀委員だから、友美を誘ってくる。
俺は久しぶりに公園でも行くことにした。

…‥


〜公園〜

ここのベンチで読書は、割にサマになるかも。
ちょっと読んでみることにした。

…‥


『眩しいな…』

日差しが強い時、外で読書は合わないと知った。
本の用紙に日差しが反射して、目が軽く疲れやすい。

『こんちは♪』

『えっ、ああ、恵理か‥、こんちは』

『読書?』

『ああ、大した本じゃないけどね』

『隣、いいですか?』

『どうぞ』

俺の隣にちょこんと座る。空元気な感覚が、俺に伝わってくる。

『最近はどうですか?』

『…うん、新しい後輩の友達もできたし楽しいかなぁ』
『へぇ〜、どんな子なの?』

『友美が所属してる風紀の後輩で、明るい女の子だよ』

『‥、また女の子…』

『別に女の子を選んだんじゃないよ』

『モテますね、優助君』

『勘弁して。ホントに、ただの知り合いだから』

『冗談ですよ〜』

『もう…』

『いつも友美さんと、一緒という訳じゃないんですね』

『人間の性質には飽き、というのが組み込まれているからね。だから間を置いて、新鮮さを失わせないようにしてる』

『そうなんだ』

『間を置いて、お互いの気持ちを再認識する時間を作る。って言うか、単に1人の時間は必要なんだけどね』

『…友美とは』

『うん』

『…上手くいってそうで、何よりかな』

『気持ちがはっきりした分吹っ切れた。…けど』

『けど?』

『何か凄く暗く感じるよ』

『そ、そんな事ないよ』

『?』

明らかにいつもと表情が違う。
悲しい、切ない、そんな感じが受けて取れる。

『あっ…、ほら私、時々ボーっとするから』

『それならいいんだけど…』

『………』

『やっぱ、何か隠してるない?』

『か、隠してなんかいませんよ』

こういう時の返答は、ないです、だったのに…


『話してみてよ』

『‥、いいの。話せないこともあるの』

そっぽ向いてしまった…
俺では相談相手に適任ではないらしい‥

…‥