今日も満員電車に揺られて重い体を必死に支える。
あぁ…また一日がはじまる。

朝は嫌いだ。
ねむいしだるい。
もう少し夜が長ければいいのに。
もう少し寝させてほしい。

なかなか座席はあかない。

立ったまま瞼を閉じて周りの世界を遮断する。
イヤホンからは気持ちとは真逆の騒がしく明るい音楽。
それでさえ今の私には
子守歌だ。

だんだんと意識が薄れる。
ふと、電車の中だということを忘れまた思い出して目が覚める。

あっ…着いた。

人にまみれた電車のなかをかき分けやっとの思いで扉までたどり着く。
学校までの道のりをとぼとぼと歩き始めた。
私の小さな歩幅では人の流れにのるのは困難。
それに人ごみは嫌いだ。
私は人通りの少ない道を選んで歩きつづける。
たまにすれ違う人も私と同じ気持ちでこの道を歩いているのか。いや、私にはかんけいないことか…そう思い考えるのをやめた。
“無心になろう”
そう、思って歩いたせいか表情まで無表情になる。
向から他校の男子生徒が歩いてくる。

(「あの子可愛いんじゃね?お前声かけてみろよ(笑)」
「まぢで?(笑)いってみっかな(笑)あの~…うわっあいつやべえよ。なんか怒ってるよ。うざっ。」
「顔可愛いくせに性格わるそっ(笑)もったいね~」)

イヤホンをしてるため何も聞こえないが彼らの表情からして何か悪く言われていそうな気がした。