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「なるほど!!
よし、陸琉やってみて」

「あんだけはりきって
たのに俺からなのか」

明らかにすぐに
やらんばかりの勢い
だったのに空砂は突然
陸琉にふった。

「うん!!」

多分、空砂がちょっと
不安になったことが
わかったので陸琉は
何も言わず神父から
黒い表紙の本を受けとる。

「では、いいですか?」

神父は手元にあった
聖書らしき書物を
ひらいた。

「ああ」

黒い表紙の本を
閉じたまま陸琉は頷く。

「神聖なる神羅の書よ、
この者の真の姿を
みせたまえ」

神父がそれを
唱え終わると突然
陸琉の手から本が
離れて宙に浮いた。

「!!」

「すごい!!」

陸琉と空砂がびっくりしていると突然地面が揺れた。
「あなたは、
地属性ですね」

「地属性……」

「水に強く、風に弱い、
属性です」

「へぇ……」

陸琉が現実味なく
その話を聞いていると、

「僕も早くやりたい!!」
と復活した空砂に本を
奪い取られた。

「……子供かよ」

思わず出た言葉に空砂は
全く気づいていない
ように、嬉しそうに
本を持っていた。

「では、いきますよ」

神父の言葉に目を
キラキラ光らせた
空砂は元気に返事をした。
その返事を聞いた神父は
再び陸琉の時と同じ
ように呪文を唱えた。

「神聖なる神羅の書よ、
この者の真の姿を
みせたま……」

呪文が最後まで
唱えられる前に

全ての物を吹き飛ばす
ような強風が
教会に吹き荒れた。

「うわぁ!」
思わず陸琉は怯んだが
他はただ本を凝視
していた。

風をはらみながら本は
いつの間にかとても高い
教会の天井近くまで
浮き上がっていた。

それが一番高い
ところまで昇った後、
まるで太陽のように
まばゆい光を放った。

「……これは」

神父は思わず黙って
しまう。

「なっ!!なんですか
今のは?」

今までただ本を見ていた
空砂が我に返ったのか
びっくりしたように
言った。

それは空砂以外全員も
同じようでしばらく
誰もが本から目を
離さなかった。

「すごい!!さすが
勇者様!!」

その静寂を破ったのは
リビアだった。

彼女は空砂に駆け寄り
その手を握ると
ブンブンふった。

どうやら感動を
表したいみたいだが、

「痛いよ、リビア」

彼女の怪力で空砂の
肩が外れそうに
軋んでいる。

「やめてやれ……
肩がとれる」

そこへ最早習慣と
なりつっあるツッコミ
をいれた。

「あんた!!私と
勇者様の仲を引き裂く
つもりでしょう?
ずっと怪しいと……」

「はいはい、そろそろ
やめるんじゃ」

といつの間にか空砂と
リビアの側に来ていた
クジャクがリビアから
空砂を解放していた。

老人とは思えない敏捷さだった。

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