仁「家族からか」

朱「まあ、そんなとこ、日本に帰って来てるなら一度戻ってくるようにって」

仁「そうか、明日にでも行ってくればいい」

朱「‥‥‥‥‥‥」

仁「俺の事なら気にするな」

朱「そうじゃない、家出同然で出て来たから戻りにくいんだよね」

そう言いながらワインを注ぎ飲み干した。

仁「どのくらい帰ってないんだ」

朱「4年くらい、16歳でロスに行ったから」

仁「一人でか?」

朱「うん、雅人の知り合いの家にお世話になってた」

仁「言いたくなかったらいいけど、どうして家を出たんだ?」

朱「一言で言うと、父の道具にされたくなかった。父の欲望の為に自分のしたいこと諦めたくなかった」

仁「今の仕事がやりたい事だったのか?」

朱「違うよ。最初は向こうで女優の腕を磨くために行ったの!日本でデビューが決まってたんだけど父に潰されてしまったの。だから、父の目の届かない所で女優を目指す事にしたんだけど、ロスでちょっと事件に巻き込まれてしまってその時に女性警察官に助けてもらってそれで方向転換した。こっちの方が遭ってたみたいであっという間にここまで昇りつめる事ができた。向こうでいろんな任務をこなして来た。勿論こういう仕事は危険がつきものだから何度も死にかけたけどね」

仁「いろいろ苦労してるんだ。」

朱「まあね。でも、怖いよ」

仁「怖い?」