「美空ちゃん、彼氏持ち?」

「いやいや、彼氏なんていないです」

「うっそ~。美空ちゃん、可愛いから絶対男が放っておかないって」

「ホントです。恋愛に縁がなくて」


女子の会話といえば、恋愛話が定番。







本音を言うと、男性恐怖症になってから恋愛話は苦手。


元彼のことを思い出さざるを得ないから。













その日の午後6時。終業時刻。


課長が戻ってきた。


課長に頼まれた仕事は、とっくに出来上がっていて、課長の机の上に置いてある。




「ありがとう、助かったよ」

出来上がった書類でポンと私の頭を軽く叩く。