俺のこども。
いや、俺と美空のこども。
美空が俺の子供を産んでいたなんて夢にも思っていなかった俺は、嬉しさと戸惑いが入り交じって美空にかける言葉が見つからなかった。
「美空...俺は...」
「私と碧のことは気にしないでください」
俺が困っていると思ったんだろう。美空は両手を振りながら、言葉に詰まった俺に慌てて言った。
「碧が課長の子供だからって、認知してほしいとか綾さんと別れて欲しいとか思ってませんから」
ただ、本当のことを言ってほしいと言われて、もう隠せないと思ったから言っただけだと。
「私、課長の家庭を壊すつもりなんて全くありませんから。課長は今までどおり、綾さんと和奏ちゃんと幸せに暮らしてください。私は大丈夫。私には碧がいるから」
美空は笑顔のままで俺を見て、そして視線を子供に移した。
強がりなんかじゃなく、今のは美空の本心なんだと彼女の表情から読み取れた。
「...どうして言わなかった?俺と別れると決めた時には、もう妊娠してることに気付いていたんだろう?」
あの旅行が、俺との別れを決意した美空にとって俺との最後の思い出にしようとしていたのならば、あの時には美空は妊娠してたことを分かっていたはずだと思った。
俺の知っている美空はそういう女だ。
「言えなかったんだよ」
俺の質問に答えたのは、美空じゃなく、俺の横に座っていた翔だった。
「言おうとしたけど言えなくなった、正確に言えばそういうことかな」
