疑問をこのままに、美空と別れていいのか?
うやむやなまま、終わらせていいのか?
頭の中で答えが出る前に、俺は美空呼び止めようとして彼女の名を呼んだ。
俺の声に気付かない振りをして俺と翔の横を通り過ぎようとした美空の手首を掴み、俺は彼女を無理矢理引き留めた。
本当にお前は他の男と結婚したのか?
いや、美空は家族が出来たと言っていた。
ということは、結婚したんだよな...?
確認するために、俺は美空に率直に尋ねた。
その答えを聞くために、俺は今、ここにいる。
お盆に3人分の飲み物をのせ、美空が俺たちの方へやって来た。
目の前に置かれたカップに視線を移すと、琥珀色の紅茶が注がれていて。
あの頃も紅茶が好きで、いつも紅茶を飲んでいた美空。
美空が消えた後、俺自身がコーヒーよりも紅茶を飲むようになったっけ。
美空が席につき、しんと静まり返る。
俺も翔も、そして美空も、誰も何も言おうとせず、ただ黙って座ってるだけ。
そんな空気に耐えきれなくなったのか、美空が口を開いた。