風が頬を掠める。
何を驚いている。
美空は家族が出来たと言っていたじゃないか。
こどもがいても不思議じゃない。
俺の中で、家族イコール結婚と思っていただけで、まさか、既に子供がいるなんて想像すらしていなかった。
はっ...。
自分の愚かさに笑えてくる。
美空の中では、俺との事はとっくに過去のものになっていたんだ。
吹っ切れていないのは俺だけで。
愛情溢れる眼差しで我が子を見つめる美空の姿が、全てを物語っているじゃないか。
美空が今でも俺の事を想ってくれている...なんてことは、俺の願望だっただけで。
実際はそんな上手くはいかなくて。
現実に美空は着実に前に進んでいる。
そんな彼女に、今さら気持ちを伝えてどうなる。
迷惑以外の何物でもない。
今の俺に出来ることは、美空の幸せを願うことだけで。
美空が幸せなら、それを心から祝うことだけだった。
