青のキセキ

「......悪かったな。ちょっとイライラしてて...」


と、髪をかきあげる彼の左手の薬指には、キラリと輝くプラチナリング。







「奥様と喧嘩でもしたんですか?」


「え?あ、あぁ...。まあな」



言葉を濁し、目線をそらす彼の表情はとても寂しそうに見えた。



それ以上は何も聞けなくて、沈黙のまま...。





チャペルに近づくにつれ、賑やかな話し声が聞こえてくる。

席に着き、静かに待つこと数分。













久香と翔さんの結婚式が始まった。