「久香や翔さんは...元気ですか?」
「ああ、元気だよ。今でもお前のことを心配してる。そうそう、もうすぐ二人目が産まれるんだ。次は男の子みたいだよ」
ずっと気になっていた。
あの手紙を出したきり、何も連絡していなかったから。
碧が産まれてしばらくした頃、公衆電話から電話したことがある。電話口から聞こえた久香の声に思わず涙が溢れた。
『もしもし?......もしもし?』
いたずら電話かな...と言いながら電話が切られた後も涙が止まらなかった。
何も言えなかった。
元気だよと、心配かけてごめんねと、たったそれだけの言葉すら言えなかった。
「一花ちゃん...お姉ちゃんになるんですね」
「ああ。家族が増えて賑やかになるのを楽しみにしてるみたいだ」
「そうですか...幸せそうでよかったです」
「課長...あ、もう課長じゃなくて社長なんですよね...」
今まで『課長』としか呼んだことがなかったから、何て呼べばいいのか困ってしまう。
『社長』?それとも『海堂さん』?
どちらにせよ、何だかしっくりこない。
そんなことを考えていたら、
「課長でいいよ。美空の呼びやすいように呼んでくれて構わない」
そう言ってくれて助かった。
