青のキセキ



澄みきった空気の中、車は爽快に風を切る。


近くの漁港では新鮮な魚介類が売られていて、その安さに驚いた。また、山の中にある陶芸の窯元では素晴らしい食器や花瓶等の陶器がこれもまた安価で売られていて、魚介類と同様、つい買い込んでしまった。


昨日真柴氏が教えてくれたお勧めスポットをめぐる旅は、想像以上に楽しかった。


どこへ行っても皆優しく、人情味溢れる温かな町。



あっという間に時間は過ぎ行く。














夕刻。

高台の展望台から西に傾く夕陽を眺める。





「そろそろ帰らなきゃな...」



さすがに、いつまでも長居はしていられない。



俺は、そのまま名残惜しさを感じながら帰路についた。



帰り道。

会社の皆へ土産を買って帰ろうと店に寄った。


そこは土産屋を兼ねた商店で、60代ぐらいの女性が笑顔で迎えてくれた。


店の半分に色々な土産が並び、もう半分に野菜や惣菜、ちょっとした日用品が置かれていた。






魚の干物に塩辛、山菜の佃煮等々。

海と山に囲まれた場所だけあって、海の幸や山の幸を使った美味しそうなものがいっぱい並ぶ。


海鮮煎餅や地酒も沢山の種類があり、どれにするか決めるのに思いの外悩まされた。




レジで会計をしている途中。




「こんにちは」



背後に聞こえた声。

その声を聞いた瞬間、高鳴る鼓動。


顔を見るのも失礼に当たると思い、振り返りたい気持ちを必死に抑える。




「いらっしゃい。頼まれた物、用意出来てるよ。ちょっと待ってね」


レジを打ちながら、おばさんが俺の背後にいる女性に声を掛けた。





会計が済んで振り返ると、その女性は店の奥の方で商品を見ていた。


背を向けていたので顔は分からなかったが、後ろ姿が何となく儚げで、自然と目が奪われる。

美空によく似た声の持ち主だからか。



バカだな、俺は...。





フッと小さく自嘲し、俺はそのまま出口の方へ歩を進めた。