青のキセキ







応接室に通されたと思ったら、


「ちょっと失礼します」

と、部屋を出て行った真柴氏。



まさか彼が和グループの社長だったなんて。

有り得ない偶然。










――――しばらくして。



「お待たせしてすみませんでした」


そう言って部屋へ入ってきた彼は、向かいの席に腰を下ろした。



少ししてからコーヒーを持ってきてくれた葵さん。彼女のお腹が大きくて、何となく俺まで幸せな気分を感じた。


思いがけない再会に誰もが信じられず、俺達は只々驚くばかり。



あの南の島の話も出たが、何故か美空のことは話題に出なかった。


美空と彼らの関係を知る由もない俺は、彼らが意図して美空の話題を避けていることに気付く筈もなく。



3人で他愛ない話で盛り上がった後、真柴氏に町を案内してもらうことになり、準備を済ませた俺は待ち合わせの時刻が来るまでホテルの敷地内を散歩することにした。






潮の香り、山の緑の香り。


心が落ち着く、素敵な場所。




「そういえば、庭があるって言ってたな...」

さっきの話の中で、真柴氏が言っていた。自慢の庭だと。

季節折々の花が咲き、ハーブも育てているらしい。

真柴氏の言葉を思い出した俺は、庭へ行ってみることにした。