青のキセキ



【薫と葵side】




「葵!遥菜ちゃんは?」


慌ただしく部屋へ入るなり、薫は声を荒げた。



「碧くんと晶のお迎えに行っているわよ。どうしたの?そんなに慌てて。新しい取引先の社長さん、お見えになったの?」


何事かと思い、葵が尋ねた。




「大変だ...その社長というのが...遥菜ちゃんの彼だったんだ...」


「え?どういうこと?」


意味が分からない葵が首を傾げる。


「だから!海堂物産の社長が、碧の父親なんだよ!」



「......え?」




意味を理解した葵の目が点になる。





「嘘だろ...どうすればいい...」


「もうすぐ遥菜ちゃん、帰って来るわよ」



薫も葵も、どうすべきなのか分からなかった。




大和を愛するが故に、死のうとした遥菜。

遥菜から大和とのことを聞いて知っているとは言え、今、遥菜と大和を会わせることがいいのか悪いのか。


過去のことを吹っ切ったかのように見える遥菜だが、まだ彼のことを愛していることは二人には痛いほど分かっていた。


だが、遥菜が子供を産んだことを大和は知らない。











「とりあえず、海堂社長を待たせてるから部屋にお茶を頼む。もう少ししたら、彼に町を案内するから遥菜ちゃんと鉢合わせにならないように気を付けよう」


薫の言葉に小さく頷いた葵。



二人の過去と現在の状態を踏まえ考えた結果、薫と葵は大和と遥菜を会わせない方がいいと判断した。















廊下を歩きながら、薫は思った。



これは...単なる偶然か、神様のいじわるか...。





それとも......。