――――――――『私も死のうとしたことがあるのよ』
そう言って、葵さんは左手の手首を見せてくれた。
そこには...。
大きな傷跡。
「今でこそ、こうして彼が側にいてくれて幸せな毎日だけど、こうなるまでに私達にも色々あったの。ね?」
そう言って背後の薫さんに確認するかのように聞く葵さん。
「...あぁ、色々あったな」
ゆっくりと首を縦に振りながら、返事をする薫さんの表情はとても切なく。
「だから、もう死のうなんて考えないで。美空さんもきっと幸せになれるから」
葵さんの言葉が、とても力強くて。
知り合ってからまだ数日しか経っていないのに、私のために辛い傷(過去)を見せてくれた薫さんと葵さん。
そんな彼らの温もりに触れて、我慢していた涙が瞳から溢れる。
