しばらくして...。
気持ちを落ち着かせて、私は建物の中へ戻った。
向かったのは空港内のお土産屋さん。
南国のフルーツを空港へ来るまでのお土産屋さんで買って宅配便で送ってもらうことにしたんだけど、あの時は課長がすぐそばにいたから、この手紙を一緒に入れてもらうことは出来なかった。
だから、今なら。私しかいない今なら、何かお土産と一緒にこの手紙を同封してもらえる。
昨日の夜、課長が眠っている時に書いた、久香への手紙。
このまま何も言わないままの方がいいのかとも思った。
だけど、久香にはきちんとお別れをしたかった。翔さんと久香には迷惑のかけっぱなしで、本当にお世話になったから。
それに、何も言わないまま私がいなくなれば...。
久香のことだ。
きっと怒るだろう。
心配するだろう。
二日前、『翔』に行ったとき会えなかったから、こうして手紙にした。
色々なお土産の中から、人気のあるお菓子を選び、手紙と一緒に送ってもらえるようにお願いする。
快諾してくれた店員さんにお礼を言い、私はその店を後にした。
