偶然にもサイズはピッタリ。
「そのまま着けてろよ」
カードで支払いを終えた課長が優しく微笑む。
「ありがとうございます」
嬉しくて胸がいっぱいになる。
ねぇ、課長。
この指に指輪をはめる意味を知ってますか...?
創造を象徴する薬指。特に左の薬指は、血管が直接心臓につながっているとされていて、命に一番近い指として神への聖なる誓いの指とされていたらしい。
薬指は10本のうちで一番動きが少なく大切な指輪を落としにくい、という実用的な意味もあるらしいけれど、婚約指輪や結婚指輪に代表されるように、愛や幸せを求める意味があるって。
綾さんとの結婚指輪をはめている課長。そう言う意味があることを課長が知っていようがいまいが、構わない。
今、私の指に課長がプレゼントしてくれた指輪があることだけが、私を幸せな気持ちにしてくれる。
指輪の輝きを見ると、心が揺らいでしまう。
ダメ。
決めたんだから。
全てを終わらせるって。
これは...課長からの最後の...プレゼント。
