食事の後、地元の人に教えてもらったお勧めの場所や街中を観光がてら歩いた。


こうして明るい時間でも人の目を気にせずに課長の横を歩ける喜び。


向こうでは課長の少し後ろを歩くのが普通だったから。



幸せな時間は驚くほど早く過ぎてゆく。




太陽が段々と傾き、夕焼けに空が染まる。




「課長...晩御飯、何か食べたいものありますか?」



ホテル近くのスーパーマーケット。







「そうだな...ロールキャベツとかグラタンとか...シチューもいいな。クリームコロッケも好きだし...うーん...肉じゃがも捨てがたい」


カートを片手で押しながら、額にもう片方の手を当てて考えている課長の姿が可愛くて、つい笑ってしまう。


「じゃ、それ全部作ります。その代わり、ちゃんと全部食べてくださいね」


なんて言いながら、野菜やお肉などの食材をどんどんカゴに入れようとする私を、



「さすがに、それは無理だろ」

と、慌てて止める課長。



結局、二人で吟味した結果、今日の夕食はロールキャベツのクリームソースをメインに、アボカドと海老とグリーンリーフのサラダ、ミネストローネを作ることに。






「朝はパンと御飯のどっちがいいですか?」



「美空の好きな方でいいよ。ていうか、朝はホテル内の店で食べてもいいよ。作るの大変だろ?」




「大丈夫です!時間はゆっくりあるし、それに私が作りたいんです」



私がそう言うと、

「ありがとう。嬉しいよ」

と、課長が微笑んでくれた。



課長に見つめられ、高鳴る鼓動。